発達ってなぁに?
目次
発達しょうがいって?
「発達しょうがい」ってそもそもなんでしょう。
多くの方が、こんな疑問を抱くと思います。
・発達しょうがいって、どうなったら問題なの?
・多動かもしれないって聞くけど、
単に興味旺盛というのと何が違うの?
・どこからが、しょうがいなの?
・グレーゾーンって何?
子供がちゃんと発達できているかどうか。
基本的には、母児健康手帳に書かれているチェックを見ますよね。
そこには、赤ちゃんが大人という「人間」になるまでの年齢ごとの成長チェックがのっています。
イメージで言うと、体はぐにゃぐにゃして首もクラクラしているし、泣いてばかりいる赤ちゃんが少しずつ大人の形に近づいていっている、そんな風に見ている人が多いのではないでしょうか。
順番はわからないけれど、<歩ければOK> <言葉が出ればOK>と思っていませんか?
身体の外側から見た発達ならそれでもいいかもしれませんが、心の発達は、一見、外からは見えません。発達障害の「発達」とは、心の発達 のことを指します。そしてこの心の発達は、赤ちゃんのにぎにぎするとか、足の指をキュッとするとか、ハイハイの様子など、赤ちゃん独特の動きから発達の様子を見ることができます。
でも、心の発達って言っても、性格があるでしょ。性格と心の発達の境界はなあに?どうみたらいいんだろう。恥ずかしがり屋さんもいれば、社交的な子もいるし、いたずらな子もいれば、一人遊びが好きな子もいる。どこからが問題ありなのでしょうか。
心の発達を見るためのポイント
そもそも人間って地球上にどんなふうに生きてるの?って考えてみてください。
私たちはホモサピエンスという動物です。ホモサピエンスは地球にどんなふうに存在しているのでしょう。
まずは、どんな形であれ、社会を作って生きていますよね。
つまり、まるっきり一人で生きるには生きていけないから集団で生きています。集団で生きていく、協力し合って生きていくということが必要な動物なので、つながりが作れるようにセットされて生まれてきます。でも群れを作るといっても、回遊魚のようにピッタリ同じ移動しながら生きていないし、団子のようにくっついて生きていくこともできません。
ヒトは、社会という集団を作って生きていると同時に、ヒトそれぞれのテリトリー(なわばり)が必要な動物でもあります。そして、このテリトリーの大きさも同じくらいの人もいれば、かなり違う人もいます。この辺りは人間関係の問題でもよく心理学で取り上げられます。
この「協力し合える」「距離が必要」の両方が育っていくことが「心の発達」です。
つまり、人と関係を作るための機能がセットされているかどうかが、「心の発達」をみるポイントです。
人の感情は、大きく二つに分かれます。
◆「気持ちいいなぁ」「うれしいなぁ」「すっきりする」「楽しい」などの快適な感情。
◆「悲しい」「苦しい」「もやもやする」「落ち着かない」「いらいらする」などの不快な感情。
もちろん、それが入り混じったり、大きかったり、小さかったり色々です。
快適な感情は生きていくのには、「その方向いいねぇ!」という指標です。また、不快な感情は「ちょっと待って、その方向に突き進むの危険!」のお知らせ信号です。
だから、どちらの感情もヒトにとって大事な感情であり、不快な感情が生まれたからといってダメな自分でもないし、そんなこと思っちゃいけないということもありませんね。だって、後ろから刀で切りつけられて血が流れてるのに、「痛い、」「苦しい」って感じなかったら、そのまま死んでしまいます。
心の痛みも同じことです。こんなふうに感情を考えて、つながる時の気持ちを考えてみましょう。
すると、ヒトとつながりを作ったり関わりあうと快適な感情が生まれるということがわかります。つながることでとても大事なことは「助け合う」ということです。
心の発達 その1(助け合う)
この「助け合う」というときに、助ける方が立派なことで、助けられることが少し情けなく、プライドに関わることだと思う人が多いように思います。でも、感情で見ると、助け合う場合って、助けられた方は、「助かった、よかった、ありがとう」って思うし、助けた方も「自分が役に立った、よかったな」って感じます。
つまり、助ける側も助けられる側も快感が生まれるようにセットされています。
両方とも快感が生まれるわけでどちらが優位とは言えません。 だから、大事なことは、「助ける」ことも「助けて」ということも、どちらかだけができるのではなく、どちらもできるということがとても大事で、それがヒトとしての心の発達ということになります。
心の発達 その2(人との距離)
母体と同一の栄養でつながってるところから赤ちゃんという生命は始まり、少しずつ離れることができるようになっていくという過程が成長です。ヒトとの良好な関係を保つためには、それぞれが必要とする距離があるということがわかることが「生きる」ことを通して発達していきます。
距離をわからずに、誰でもにどんどん近づいていく。その逆にいつまでも近づくことができないということが心の発達に問題があるということになります。この距離は立って歩くことが安定していくにしたがって、発達していきます。
そして、そして離れてもいつでも戻れる安全基地(多くは母)があるということが、この距離で離れても安心という気持ちの元に、他の人に近づいたり離れたりできる心を育みます。
発達における問題行動とは?
同時に、この2つの「協力しあえること」「距離を必要とすること」という心の発達がうまくいかないと、このようなさまざまな問題行動がみられます。
- 言葉の遅れ
- 予定変更に対応するのにとても時間がかかる
- 自分の感情だけしか見えなくなる
- 話題についていけない
- 忘れ物が多い
- 人と関われない
これらは、母や父としては、なんだかとても育てにくいと感じてしまうことが多いでしょう。
育てにくいと思わなくても、このところは、ADHDやASDのチェックリストなど多く出回っています。それはここでは挙げませんが、多くのSNSやネットに情報があるので、参考にすることはできると思います。
でも、様々な行動だけを見るのでなく、発達しょうがいの「しょうがい」の部分は何かと言われれば、人と一緒に生きるためにセットされているはずのこの2点の心の発達に問題点があることです。
ヒトと一緒に生きるためなので、集団に入るとその困難性がわかってきます。 先にあげた問題と思われる行動が、なぜ心の発達に関わるのかを次回からお伝えしていきたいと思います。
そして、これからもうひとつ、私が言いたいのはこれです。
たとえ発達障害と診断されても、伸びていくところが多くある。
その子のあるがままを受け入れるというのは基本姿勢です。これはとても大事なことです。でも、だからと言って、これは『脳の機能障害だから発達しない』と決めつけてはいけないということです。厚労省もさまざまな支援法があること、決めつけず、その子の成長を見ていくことを政策レポートとして出しています。
医学的診断も「脳機能障害」から「神経発達障害」に変わりました。生きにくいということが身体や栄養に関係していることもあるのです。その子の個性を大事にすることを前提に、その子どもの認知機能だけでなく、身体全体、生きている機能を支援するのが私の立場です。
その子がその子のままに他人との距離を大事にして関わることができるようになる方法をあきらめることはありません。今後は、改善すること、心理テストの結果さえも変化する場合があることについて、情報発信していきます!